2013年7月12日

THE BEST OF MOVIES in FISCAL 2012

2012年度の、ザ・ベスト・オブ・ムービーズ!!

すっかり書くのが遅くなってしまいましたね。
映画館で働いていた1年間に観た映画のベストを決めようとずっと思っていたのです。
なんやかんやあって、こんな時期に書くことになったのが心苦しいです。というか、のびのびになってしまったのが悔しいです。
間あいちゃったら、急にブログ書くのが億劫になりましたね。なぜでしょう? Twitterを復活させて、Google+に頻繁に居るようになったからでしょうかね。
まあ時間もないので、サラッといっちゃいましょう。ベスト10です。
2012年1月~2013年3月公開までの作品で決めたいと思います。

それではどうぞ!



1位『アイアン・スカイ

堂々の1位はやはりこの作品! B級SFマニアがこれを1位にせずに何を1位に挙げるのか!
全世界の映画ファンから出資を募って怒涛のVFXを実現させた、伝説のB級映画と言えるでしょう。
「ナチスが月からやってくる!」という衝撃的キャッチコピーにより、欧州はもちろん世界中の注目を集めた問題作とも言えます。
脚本、映像、俳優の演技どれをとってもB級とは思えないほどクオリティが高く、それでいてB級としての「味」というか、空気感のようなものは失っていません。敵役がやられるところなどギャグそのもの。
クオリティを上げられなかった部分(要するに予算が足らずちゃちい部分)はカメラアングルや映像の観せ方でうまくごまかすという、スタッフの腕前も観どころのひとつ。
ブルーレイの売り上げも好評のようで、スチールパッケージに物欲を刺激され、もちろん購入しました。
こんな面白い作品が他にあるとは思えません。唯一無二の殿堂入り作品として、ランキングから分けたいぐらいです。
B級映画や、SFがそれほど好きじゃない人にもオススメできます。
ナチス映画といえば近年トム・クルーズ主演の『ワルキューレ』という映画がありましたね。あれもなかなかよかったが、いろいろと物足りなくてあと一歩の惜しい作品だと感じたんですよね。
でも、『アイアン・スカイ』は大変満足できましたし、観終わった後の「面白い映画を観た」という充足感に包まれるんです。素晴らしいですよね。
1位はこの作品以外にはないと思っていました。万人に観ていただきたい傑作です。


2位『クラウド アトラス

3月15日公開ということで、ギリギリランクインできましたね。やりました。
もし年末に2013年のベストを決めるなら、この作品が間違いなく1位に輝くでしょう!
6つの舞台、6つの時代、6つのジョジョ的奇妙な縁によってつながれた6人の主人公たちの群像劇です。
中世だったり、現代だったり、地球外の別惑星だったり、年代なんてバラバラ。しかし、彼らの行動はすべてつながっていて、そのつながりは入れ子構造とも考えることができる、実に考察のしがいがある、解釈大好き映画マニア垂涎作品です!
登場人物の名前を覚えたり、誰がどの時代に生きていたのかだったり、観ながら考えることも多いので頭を使う作品かもしれません。
でもその雰囲気が楽しい。もう序盤はなにがなんだかわけわかんないんだけど、観れば観るほど、次はどうなるんだろう、彼(彼女)はどうなったんだろう(未来の時代では当然過去の人なので、亡くなっています)とか、ソンミ様って、え!? とか。スルメ作品なんですよ。噛めば噛むほど味が出てくる。
ベッドシーンが嫌にならない稀有な作品。早くブルーレイ出ないかな。絶対買います。


3位『天地明察

冲方丁、恐るべし。
尊敬してやまない、それでいて厚い嫉妬の念も抱く作家・冲方丁の初の実写映画でございます。
日本改暦事情ですね。時は江戸。800年続いた中国の暦を廃し、日本独自の(それも日本初の)カレンダーを作るという話です。原作が最高に面白いのですが、映画も最高に面白い。算術絵馬の問題が原作と違うところもポイントですよ。
原作好きだとあら探ししてしまい、多少なり気に入らない部分が出てくるのですが、この映画はまったくそれが見つからなかった。
冲方丁名ゼリフ「1番に大事にしなくちゃいけないのが原作ファンで、次に原作、そのあとが原作者とかスタッフ」っていうのが見え隠れしていていいですね。
『天地明察』を読むなり観るなりして、『光圀伝』を読み、その後大河ドラマの『八重の桜』を観ると江戸時代大好きになっちゃいます。
正直、発表されたときのキャスト陣には不安でした。V6の岡田くんと宮﨑あおいですよ。不安すぎるだろ。
でも、杞憂に終わりました。特に岡田くんには圧倒されました。光圀公に刀を突きつけられたときの迫真の演技、キャストはこれでよかった。いや、これじゃなくちゃダメだったと思わせるシーンでした。春海役が成宮寛貴とかだったらこうはいかなかったでしょう。
冲方夫妻もガヤにいるんですが、あのおふた方、目立ちすぎで笑いますよね(笑)


4位『トータルリコール(2012)

シュワちゃん主演の1990年の映画『トータルリコール』のリメイク版です。
『地球が静止する日』ではリメイク前とリメイク後を併せた限定BOXが発売され、『トロン:レガシー』も前作『トロン』と併せた限定BOXが発売されたので、『トータルリコール』も出るのではないかと期待していたら、出ませんでした―とまさかのガッカリ感を与えられてしまいました。
リメイク前はなんと火星にコロニーがあって、行ったり来たりするのですが、リメイク後は大幅に脚本が変わり、予想外のマルクス主義全開の労働者搾取問題!! 地球の核を横切って反対側から反対側へエレベーターで労働者が働きにいくという構図。最初観たときはうわーと思ったのですが、やっぱり街の景観とか、施設やガジェットのデザインが好みなので、4位にランクイン。
特に終盤の展開が好きで、ハラハラしましたね。
記憶を買って疑似体験するというのがリメイク前もリメイク後も一応テーマのようなものなのですが、記憶を売ったり買ったり、レートがあってうんたらかんたらとかそういう話ではありません。記憶喪失の男が記憶を買ったらたまたま自分の元の記憶でああだこうだという話でもありません。ただのマルクス主義を打開しようと奮闘するお話です(笑)
記憶を買うというのはテーマではあるんですが、単純にエッセンスの1つでしかなくて、あってもなくてもぶっちゃけどうでもいい……。
ただ、記憶を操作されて何不自由なく暮らしてるんだけど、実はそれはニセモノで……というストーリーなので、あったほうが面白いからいいんですけどね。
ちなみに、リメイク前は「RECALL社」ですが、リメイク後は「REKALL社」なんですよね。なぜか中国っぽくなってるし。


5位『おおかみこどもの雨と雪

貞本義行好きや細田守好きで観てない人はいないでしょう。アニメ映画の鉄板ですね。
タイトルがすべてを物語っています。このタイトルを深く考察した人はおそらくあまりいないでしょう。
雪がお姉ちゃんで、雨は弟です。年功序列にしたがって、「おおかみこどもの雪と雨」にしたいところですね。でも、「雪と雨」という順番ではダメなんです。
天候の移り変わりの問題ではなくて、もっと国語的な話なんですが、「おおかみこども」と対比させたいわけです。雨はおおかみに、雪は人間の子供にその存在のあり方を決めるので、おおかみ=雨、こども=雪です。対比表現を使って、『おおかみこどもの雨と雪』にしているわけです。深いですね!
この作品、ぜんぜん子供向け作品じゃない。大人の人が観て涙する作品なのです。
『サマーウォーズ』と同じく「田舎映画」でもありますね。まあジブリなんかじゃ田舎映画けっこうありますけど……、都会嫌厭なこの作品は貴重かもしれませんね。


6位『逆転裁判

カプコンのゲーム『逆転裁判』は回を重ねるごとに新機能や重厚なストーリーが人気を博し、ついにナルホドくん凱旋の『逆転裁判5』が7月25日に発売されます。
ナルホドくん役は成宮寛貴、真宵ちゃん役は桐谷美玲。5から声もこの2人に変わるのかな? 今まではプロデューサーのタクシューさん(巧舟さん)がナルホドくんの声やってたんだけどね。
ストーリーは基本的に『逆転裁判1』の話を切ったり貼ったりした感じですが、バランスは悪くない。ただ、展開が早すぎて、原作未プレイの人にはわからない部分も多々あると思います。これはブルーレイでも特に変わっていなかったので、ぜひ原作をプレイして観ていただきたいですね。
御剣検事がカッコイイ! ヤッパリくんは原作から飛び出て来てますね。もはや本人です。
イトノコ刑事は残念。もっとガタイのいい年配の人を配役にもってきてほしかったなあ。
ゲームを映画化するのは大変むずかしいことではありますが、SF的なゴマカシによってなんとか雰囲気を損なわずに映像化できましたね。見事です。


7位『ドラゴン・タトゥーの女

スティーグ・ラーソン『ミレニアム』第1部の2012年版映画作品です。以前にも映画化されており、その際には第2部、第3部も映画化されたようです。
今回は007でお馴染みダニエル・クレイグ主演の作品です。
とにかくカッコイイですね。『007 スカイフォール』を入れたいところなのですが、あちらは終盤が迷走しているので、こちらをランクインさせました。
まず突っ込みどころとして、オープニングの移民の歌はまあいいっちゃいいんですが、CG使っただけだしなぁ~。
キャラが多すぎて名前がわからなくなる。これはマイナス点ですね。『クラウドアトラス』ではちゃんと憶えられるだけに、マイナスですよ。あっちのほうが登場人物多いですから。
しかしストーリーは高得点ですね。とても良いです。早く原作の『ミレニアム』シリーズを読みたいですね。今はちょっと立て込んでるので(他のシリーズ物を読んでいたり)、そのときを楽しみにしましょう。
北欧の冬の風景がとても好きです。


8位『宇宙兄弟

みんな大好き、小山宙哉『宇宙兄弟』の実写映画化です。
漫画の実写映画はほとんどが失敗しますが、稀有な成功作です。アニメも好調のようですね。僕はアニメも観てないどころか原作すら読んでいないんですが、なぜか好きになりました。Sigur Rósの曲が使われているからじゃないですよ。それは次の『幸せへのキセキ』でいいでしょう。
内視鏡検査の体勢が違うとか聞きました。本当ですか? 小山先生は実際に内視鏡検査受けたほうがいいんじゃないの。
キャスティングがなかなかいいですね。あと、漫画や小説原作の実写映画って、いもしないヒロインキャラをでっち上げようとするじゃないですか(例:テルマエ・ロマエ、探偵ガリレオ)。そのあたりスッキリしていて好感を持てました。
映画のストーリーはよくまとまっているんですが、終盤はまとめすぎちゃいましたね。あれはひどい。でも、クサクサしていたところからかつての夢を目指すっていう展開にはグッときてしまうんですよ。共感してしまいましたね。
共感できる作品はとても好きです。漫画も読んでみましょうかね。


9位『幸せへのキセキ

Sigur Rósのヨンシーがソロ・プロジェクトをやっていますね。そんなヨンシーのソロ曲で埋め尽くされた作品がこの『幸せへのキセキ』です。
ストーリーはありがち、ラストも王道のご都合主義、周りの評価もそんなに高くない。でも、ヨンシーがすべてを引き立ててくれている、そんな映画です。そして僕は、そういう他の人が貶している作品にこそ愛を見出してしまう天邪鬼なのです。
マット・デイモンがかなりいい演技をしていて、『リアル・スティール』を観てから家族愛に対する嫌悪感が消えた僕にとってはかなり幸福感を感じる映画でした。
動物園、ぜんぜん行ってないので、たまには行ってみるのもいいかもしれませんね。
ちなみに、この作品の脚本は実際にあったできごとを脚色して書かれたもの。どこまでが本当かは想像するしかありませんが、ただの「イイ話」では終わらない深みのある作品です。


10位『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

ヤン・マーテル『パイの物語』という小説を原作にした漂流ものです。
脚本がなかなか良くて、漂流から帰還して、年をとって家庭を持つ壮年のパイ氏へのインタビューという形で話がすすんでいくんですよ。これを考えたのはもはや天才ですね。物語すべてを回想編という構成で成り立たせている作品はいくつもありますが、インタビュー形式の回想というのは初めて出会いました。恩田陸『Q&A』なんかは全部インタビューですけど、こちらはインタビューアーは途中で消えて、漂流を主軸に持って行きながらも、合間でまたインタビューに戻ったりする。すごいテクニカルな構成なんですよ。
でも10位にしたのは、僕が3Dで観てないからというのと、少々状況に無理があるかなといったシーンがいくつかあったのが残念だったからですね。リアリティなんて重視しなくても別に構いやしないんですけどね。最後にクズみたいな日本人の記者が出てくるのはナイス。ああいうマスコミっているよな~。生還したばかりの人間に矢継ぎ早に質問を浴びせかける無遠慮なヤツ! 同じ日本人として恥ずかしくなるほどの痛烈な皮肉でした。
冒険というほどアクションはなくて、ただ漂流するだけというよりもずっとハラハラする。緊張感とか、絶望感が強くて、でも、そこからなんとか活路を見出そうとするパイに次第次第に共感していく、感情移入していってしまえるんですよね。
なかなかの秀作でした。もしかしたら、これが一番オススメしやすい作品かもしれませんね。

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