2013年2月6日

LOOPER

B級的なSFこそ真に面白い映画であると思い始めてきている今日このごろ。
ブルース・ウィリスとジョゼフ・ゴードン=レヴィットの共演で話題になっている、かぐわしいB級臭がぷんぷんするSF映画、『LOOPER』を観に行ってきました。
ジョゼフ・ゴードン=レヴィットは『(500)日のサマー』や『インセプション』でもお馴染みの俳優ですね。『ダークナイト・ライジング』にも出演しましたが、僕は観ていません。予告で登場しているのをちらりと観たぐらいですね。

タイムトラベル系のSFにディストピア設定が付け加わった、メディアの紹介記事を読むだけで「面白そう」とか思っちゃって、颯爽と観に行っちゃいましたね。
それでは感想いってみましょう。



※以下、ネタバレを含みます。ご了承ください。


「LOOPER」、それは未来から送られてくるターゲットを殺す処刑人。
30年後の未来では個人認証が発達し、殺し屋がターゲットを殺し、どこへ埋めたり沈めたりしても発見されてしまうという。そこで考案されたのが、タイムトラベルによる殺し屋稼業だ。違法とされるタイムトラベルを用い、過去の人間に標的を殺させる。犯罪を隠すなら犯罪の中。しかしタイムパトロール的人間が登場しないのは、後々わかります。
主人公のジョーはそんなLOOPERの一人。殺し屋組織の幹部も現在にタイムトラベルしてきており、そこで契約を結ぶ。仕事の以来は家の入口やポストなんかに入っていて、いつも決まった場所(ジョーの場合はさとうきび畑の一角)にターゲットが現れる。ターゲットの服の中に報酬の銀の延べ棒が入っている。
この設定だけで結構惹かれちゃいますよね。

SFにおいて描かれるのは、すごく発展した未来か、荒んだ未来かの二極型で、この作品は後者のほう。もちろん入り混じってる作品もありますが、顕著ですね。浮浪者とかもいるし、車の運転マナーとか悪い(笑)
まあLOOPERがごろごろいるみたいだし、もはや犯罪者の街というか。
LOOPERは簡単にはやめることはできない。非合法のタイムトラベル、なおかつ殺人にかかわっているのだから当たり前。
でもいずれやめる=死ぬときが訪れる。それは自分自身が未来からターゲットとして送られて来ること。「ループが閉じた」という言い方をして、自分の寿命が残り30年であることを知るわけだ。顔を隠して送られてくるターゲットが自分自身であるとわかるのは、銀の延べ棒の代わりに金の延べ棒が入っているときだ。
LOOPERなんてやってるやつは底辺の街の中でもさらにどん底の連中。細く長くよりも、太く短くって感じだろうか。この辺りの設定がすごく面白いと感じた。

そのどん底の連中の中にも臆病なやつが1人はいて、ジョーの友人セスがそうなんですが、自分のループ(未来から送られてきた人間のことも「ループ」と言う)を逃がしてしまう。逃がしてしまうのは結構深刻な事態で、要するになにをしでかすかわかんないから危険なんですよね。
ジョーは最初匿うんですが、自分の保身のためにセスを引き渡してしまう。引き渡さなければ、自分が殺されるか、あるいはそれに近い状態になる。
セスのループ=30年後のセスが現在に来て街に逃げることがこれで組織にバレてしまう。セスのループには腕にメモ書きが刻まれている。元から刻まれていたわけではなく、突如として現れる。そこに刻まれた場所へ行くと、組織のボス・エイブの右腕であるキッド・ブルーがいて、殺されてしまう。
セスのループはだんだん消えていきます。存在が抹消されていくんです。現在においてセスが組織に殺されたから、セスのループも消えていく。でも、すぐに消えずにだんだんと消えていくんです。
腕のメモ書きを刻んだのは組織ではありません。セス自身ですね。キッド・ブルーの居場所には、もちろんセスもいました。消えゆく意識の中で、腕にメモを刻んだんです。現実のセスに起こっていることは、30年後のセスのループにも現れる。
歴史は変わるという設定を見せているわけですが、複雑すぎる(笑) 今書いた説明はほとんど映画内で出てこないので、ちんぷんかんぷんな人も多いことでしょう。後から考えて、ああなるほどねという感じです。

ジョーのループも現れる。なぜか、顔に布が巻かれていない。一瞬躊躇するが、撃つ。背中の金の延べ棒で弾丸をカードされる。金の延べ棒を投げつけられ、ひるんだすきにパンチを食らってダウン。
意識を取り戻すと、「貨車に乗って街を出ろ」というメモ書きが。途方にくれるジョー。
自分のループを街に逃がしてしまったことに対して落とし前をつけようとして、街に戻るジョー。自分の部屋に戻り、キッド・ブルーを床下に閉じ込めたり、銃撃戦をしたりして、結局はしご階段から落ちて意識を失う――

すると、突然場面が変わり、再び自分のループを撃つジョー。今度は顔にタオルが巻かれ、金の延べ棒でガードされたり、投げつけられたりすることもない。自分のループが死んでいる。
「1 Years Later」
ええっ!? いきなり1年後とかいって、なんなのこの展開とびびる。5年後、10年後、30年後……。自分のループを撃ったLOOPERの寿命は30年後。
未来の犯罪王レインメイカーがすべてのループを閉じようとしているらしい。理由はこの時点では不明。そして、ジョーはレインメイカーと、彼がループを閉じようとしている理由に深くかかわっていきます。

タイムマシンの前で組織の連中を倒すジョー。それで、タイムマシンに乗る。目的は、30年前のレインメイカー=子供のレインメイカーを殺すため……。
そこでストーリーが30年前に戻ります。
よくできているなあと素直に感心してしまいました。
30年前の自分が撃ってくるラッパ銃の弾丸を背中の金の延べ棒でガードし、あとは先述の通りの方法でノックアウトさせる。
自分の目的を30年前の自分に告げたり、記憶の共有について語ったりする。
ここで腕の刻み文字のカラクリも理解できるわけですね。記憶まで共有できるのは驚きですが、まあそうだよなと。面白い設定です。

ジョーはレインメイカー候補の子供たちのうち、1人の地図をもらう。
なんでも、同じ日に同じ病院で生まれた子供たち4人(3人だったかな?)のうちの誰かなのだそうだ。30年後のレインメイカーのカルテがそれを物語っているらしい。
ジョーとジョーのループは対立しているし、敵対関係にあると言ってもいいので、対決を最後まで避けるために一番遠いさとうきび畑の側にあるサラとシドの暮らす家へ。
そうそう、TKと呼ばれる能力が発現した人が多くいるんですよ。TKというのはテレキネシスの略。要するに念力ですね。サラがTKをあやつって、ライターを浮遊させるのがうまい。
息子のシドは、癇癪を起こすとTKが暴走する。彼がレインメイカーだと気づくジョー。ジョーのループは、無関係の子供を1人殺しましたけどね。ジョーのループは悪役で、冷酷なキャラクターかと思いきや、子供を殺すときに痛々しい表情をしますね。
組織が家を捜索しに来たり、オールド・ジョーがシドの命を狙いにやってくる。サラは殺されて、シドは1人貨車に乗って街を出て、ループを憎むようになり、やがて犯罪王となる――
そんな未来を予見するジョー。他ならぬ30年後の自分が、皮肉にもその目的とは正反対に、レインメイカーという存在をつくりあげてしまったのだ!

その未来をどうやっても止められないと悟ったジョーは、最後の手段を選ぶ。
セスのループが消えたのと同じ方法、つまり、自分の死だ。
ラッパ銃で自分を撃つジョー。一瞬の内に、オールド・ジョーは消える。
光の中でジョーは眠り、物語は幕を閉じる。未来が変わったか変わらなかったか? それはわからない。

この物語は、歴史や未来が変わるとか変わらないとか、そういったことを抜きにして観たほうがいいかもしれませんね。
エンターテインメントととしてとても優れていますし、鬱屈としていて、暗く、一貫してネガティブなオーラに包まれています。
サラが欲情するシーンはよくわかりませんでしたけどね(笑) 素性の知らないジョーに対して心が打ち解けたってことでいいのかな?(笑)
無理やり入れた感があったよなぁ~。『(500)日のサマー』のようなストイックさはどうした。


ここからは余談。
ユナイテッド・シネマ浦和で観たんですが、スタッフが全員暗く、テンションが低い。清掃に入ってきた2人も、受け取りやってたやつも、もぎり台のやつも。全員メガネ男子。どうした。
『LOOPER』を観たあとであのテンションで「ありがとうございました~」とか言われたから、ずっぽりと負の感情の底なし沼にはまっちゃった。帰りの電車で、ずーっとネガティブなこと考えてた。自分のこととか、将来のこととか、世の中のこととか、自殺のこととか。映画のことも、もちろん。
ただでさえ最近Twitterで嫌なことがあった直後だというのに、あいつらの接客態度は不愉快だったよ。
彼らも『LOOPER』を観たならわからないでもないが、もうちょっと明るく接客したほうがいいんじゃないの。俺が言うのもなんだけどさ。
「映画を楽しんでもらえてよかった」という気持ちがまったく感じられなかった。ユナイテッド・シネマ浦和のスタッフは、まるで幽霊みたいだったな。
LOOPERの連中みたく、ループが閉じたらそのことに乾杯できるような陽気さが必要だ。彼らにも、俺にも。

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