2012年10月25日

推理作家ポー最後の5日間 -The Raven-

『推理作家ポー最後の5日間』(原題:The Raven)を観てきました。
ミステリファンは絶対見逃せないということですので、ミステリファンはぜひ劇場へ。
シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム』に少々がっかりしてしまって不完全燃焼のあなた、推理小説を地で行くような心躍る作品ですので、おすすめです。

なお、R15指定ということもあり、痛々しいシーンや血みどろシーンもあります。耐性のない方はご注意を。



※以下、ネタバレを含みます。ご了承ください。


エドガー・アラン・ポーの作品はひとつも読んだことがない。
そんな奴がミステリファンなどと甚だしいことこの上ないが、それでもすごく面白いと思えた。純粋に楽しめた。
ポーの死因はよくわかっておらず、その最後の5日間をフィクションで描いたというわけだ。

小説の模倣犯がポーの恋人であるエミリーを誘拐し、模倣犯の挑戦にポーが挑むという展開。
小説の中に登場する仕掛けや謎解きが現実世界で行われ、また模倣犯も独自の謎掛けを殺人事件の中に織り込んでくる。主にメモという形だが、メモじゃない場合もある。懐中時計とかね。
同じ手口ということでポーに白羽の矢が立ち、犯人逮捕へ協力することに。
フィールズ警視正とコンビを組むことになるが、フィールズのキャラクターがすごく立っていて、つい感情移入してしまう。
窓の仕掛けを外したときに「この事件には覚えが」という出だしのシーンがわくわくしますね。
ポーとは違うルートから犯人への手がかりを発見する終盤のシーンもよくできている。2人のどちらの観察眼も非常に鋭い。

時代考証にも注目。1849年当時の印刷機が登場します。特に重要な手がかりでも何でもありませんが、アンティーク好きにはたまらない逸品。
できれば序盤の酒場で演奏しているバンド(というか楽器)をよく見たかった。
仮面舞踏会も出ます。当時の劇場でのロッカールームとか興味深い。

アクションシーンも少々ありまして、銃撃戦やチェイス、斬りつけられたりなど。
それよりも放火のシーンが衝撃的だったかな。
仮面舞踏会でエミリーがさらわれて間もなく放火され、仕方なくフィールズの家に泊まったり。
それよりも謎解きがメインですね。謎解き好きなのでかなり楽しめました。
謎を解きながら、地下水路を捜索したり、教会におびき出されたり、犯人の動機がわからないまま物語は進行していきます。
その間も犯人の要望通りポーは小説を書かなくちゃいけない。エミリーが人質のようなもので、殺すとは言われなくても要望は飲まざるをえない状況。一心不乱に書いているシーンがいいですね。

犯人の動機は結局追い詰めてもよくわからない。現実と空想がごっちゃになっていることは明らか。世界という言葉を使う時点で、フィクションのできごとを現実に持ってくることでこの世の中に抱いている、あるいは自分自身に対するうらみつらみを晴らそうという感じでしょうか。
ラストの展開は怒涛の結末ですね。
ポーが死んだのはなぜか? という問に対する答えがうまく出せています。とはいえ、実際にこんな事件が起こったかどうかは不明ですけどね。「レイノルズ」という名を繰り返し呼んでいたというのは事実のようですので、そこを着地点にできているのがとても良いと思います。

で、最後にフィールズ警視正が先回りして犯人逮捕。
このあとはハミルトン大尉によって事件は公にはされず~という展開が待っていると考えれば、ポーの死が今も謎であるという点が腑に落ちますね。娘が誘拐されたのですから、公にはしたくないと考えるでしょう。新聞社も自分とこの社員が犯人だから記事にするのはためらう気がします。ボスも殺されてるから自粛でしょうね。
要するに、なんか変だぞと思ったシーンがひとつもない(『シャーロック・ホームズ』2作品ではありまくり)。精巧に組み合わされたパズルのような作品ですね。

最近はアクションシーンばっかりの映画が多い中、よくもここまで謎解きに重点を置いた作品をつくってくれたなぁと賞賛の気持ちでいっぱいです。
この感想ではいつものようにストーリーをつぶさに追うということはしませんでしたが、具体的な謎解きシーンを明らかにしてしまうのも気が引けたので、以前のようなシーンごとの感想にしてみました。
派手な作品ではありませんが、深く楽しめる作品ですね。とても面白かったです。観てよかった!

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