2010年6月5日

水溜りのホップロック 03

あんまり読み返して推敲していませんね。
書き始め当初はプロットつくっていませんでしたが、やっぱりつくりました。

ホームページの方を夏から秋ぐらいまでには大々的に改装・コンテンツ強化したいので、その時にばっちり推敲して掲載したいと思います。

コンテンツ強化というのは要するにホームページテンプレート素材です。
公務員試験の勉強も始まるし、ちょこちょこやらないといけないですね。
クローン病とも闘わないと。

Bon Jovi聴いてがんばります。





   03

 何日経ったのかもわからない。時間の感覚がまるでなくなっていた。わたしたちはただぼーっと空を見たり、水を見たり、飛んでいる鳥や飛行機やよくわからないものや星を見たりして、漠然とした言いようのない不安から逃れていた。

 あまりにもすることがなく退屈なときは、動かなくなった遊具で遊ぶことにしている。静止したパンダの乗り物に乗ったり、百円玉を入れると動く飛行機に乗ったり、線路の上を意味もなく歩いたり。世界から見放され、見捨てられたわたしたちには実にお似合いの場所だった。

 こんなにも危機的状況にもかかわらず、わたしはあまりお腹が空かなかった。不安で食欲が低下しているのだろうか。でも、実のところそれほど不安を感じていないのが本音である。いつもこんな感じでこの場所へ来たり、街を徘徊したりしてはプラプラしていたし、世界と自分が分断されて孤独を感じるとともに、これでよかったという正当さも感じているのだった。

 喉はもちろん渇く。しかし、わたしたちにはお金がない。以前はまだ撤去されていなかった自動販売機をエンが蹴って壊して飲み物を入手していたが、今はもう撤去されてしまっている。そのため、エンがどこかで手に入れてきた飲み物や食べ物を、わたしは何も考えずに受け取っている。

 エンはお昼頃に出かけていったきりだ。どこへ行くというのだろう。十階建てのデパートのビルで、五階まで水に浸かっているのだから六階までしか行けないのに。このデパートは駅前にあるので、駅ビルと連絡通路で別のデパートのビルと繋がっている。でも何階で繋がっているのかはわからない。上から見ると、水には浸かっていない。

 きっとエンは泳いでどこへでも行けるのだ。わたしは泳げない。エンは何でもできるけど、わたしは何にもできやしない。世界から見捨てられた二人がどちらか一方だけ助かるなら、きっとエンだけ助かるのだろう。

 でも、エンはわたしを見捨てたりはしない。世界とわたしとの二択なら、きっとわたしを選んでくれる。夢や将来とわたしとでも、きっとわたしを選んでくれる。

「ただいまあ。思いの外時間がかかっちまった。待たせてごめんな」

 鍵の壊された屋上への扉を開けて、エンが帰ってきた。気がつくと、もう夕暮れ時であった。

 エンはどこへでも行けるけれども、わたしを見捨てては行かない。わたしがどこへでも行けたとしても、エンを見捨てては行かないだろう。世界から見捨てられたわたしたちは、同じ世界から見捨てられた人を見捨てはしない。

「おかえり。待ちくたびれちゃった」

 夕日が眩しくわたしたちにオレンジ色の光を放った。それは誰にとっても平等な光で、わたしたちにとっても、もちろん。

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